とある夕方の出来事。
ガイドヘルパーを利用しているT君。
T君がにやけににやけているそのワケは・・・。
この日、気温は30度を超え、まさにここ最近の蒸し暑い気候。
16:05。T君と合流する。顔を見るやいなや、T君はなだれ込むように「てっかーさん、2.9どこにあるのよ?2.7とか2.9とかどこにあるっててっかーさんゆーてたから、てっかーさん知ってるってゆーてたから△〇□※△※ドドドドドドーーー!!」
「よっしゃ。2.9探検だぁ!」
説明しよう!
時は少々さかのぼること6月。T君と図書館へ出掛けた帰り道の会話。それは突然の一言。
「2.5って2.7もあるの?」
「ん?何のこと?」
から始まり、トンネルの高さのことと判明。
トンネルの高さは色々あるのか?との質問に私は何の根拠もなく堂々と答えてしまう。
「色々あるよー。高いのもあれば低いのもあるし、2.5もあれば2.9も2.7も・・・・あるんちゃう?」
「えーーー!!そんなんあるの!?えーー!!」「どこにどこに?」
「駅の近くとかいっぱいトンネルあるからきっとあるでー。」
予想以上のT君のリアクションにこちらもテンションアゲアゲで返答。しかし・・・うん、きっとあるはず、うん、多分あるだろう、うん、あった気がする。トンネルの高さ気にしたことねーよT君!!!と内心ちょっと不安な私。
そしてその後、T君はトンネルの高さトークをヘルパーさん達にしていたらしい。
そして先日7月8日(火曜日)。このミッションが掲げられたのだ。
「トンネル2.9メートルを捜索せよ!」
16:05吹田市社会福祉協議会を出発。
16:15阪急豊津駅付近トンネル→2.3M
16:25JR吹田駅付近トンネル→2.5M
16:35阪急吹田駅付近トンネル→4.2M
16:45阪急吹田駅ややそれたトンネル→1.7M
16:55裁判所前通り開通トンネル→記載なし。
17:05中之島公園付近トンネル→2.3M
ひたすら歩く。トンネルの高さを見てまた歩く。トンネルに記載がなければメジャーで計測。また歩く。T君のモチベーションはかなり高い部分を保っている。私、足が痛い。しかし言った事に責任を持たねば・・・。私の両足はもはや何かに動かされている。2人で大粒の汗。そう、私達はもはやワールドカップの頂を目指している彼らとなんら変わらない。ゴールドトロフィーを夢見るのか、それとも2.9メートルのトンネルを夢見るのか!
活動は18:05まで。もう時間はない。ここからT君の自宅までは歩いて40分といったところだろう。
私の知っている限り、時間内に回ることのできるトンネルは残り2つ。
さぁいよいよヤバくなってきた。
きたきた!トンネルだ!やったー!テンションが急に上がり、猛烈な高揚を感じた。確率変動なんて比にならないぜ!
そしてその時は来た!!!
今年ナンバーワンの感動間違いない。
そんな 中、たまたま休日を過ごしていた近所に住むスタッフが通りがかった。
「何してんすか?」
「いやいや、こーであーで2.9で・・・・」
もちろん私が一生懸命にハイテンションで説明するが、その温度差はアラスカとケニアくらいの差はあっただろう。
「ふーん。」まあいい。やりきった写真を撮ってくれ!そして私たちは約45分かけて自宅へ到着した。約2時間ではあるがハイペース&ノンストップで歩き続けた達成感は大きなものだったが、なかなかハードだぜ。しかしながら、T君には大変感謝している。この日から私はまた新たな引き出しを得ることが出来た。これまでの私の目に映る景色は道行く人、お店、建物、動物、植物、電車、きれいなお姉さん、まあそんなところだろう。しかし、翌日の出勤時、つい横目でトンネルの高さをチラッと見ていた私がいた。あらたな引き出しをゲットした瞬間だ。これだから人と人との関係は楽しいのではないか!
そして、その帰り道。
私「なあなあT君、なんで2.9のトンネルがそんなに見たかったん?」
T君「え?だって見たことないんだもん。」
私「そうか。じゃあ2.8とか2.7とか2.6とかは見たことあるん?」
T君「えっ??あるのっっ!!??」
私「(ヤバい!方向転換!)」
私「うーん次は何か別のものとか行く?」
T君「うん!2.6はどこにあるの!!??」
私「・・・・・。どこかに・・・あると・・・思ふ・・・。」
*TEKAWA*